佐 伯《サイキ》港(32°58′N 131°55′E)(海図W1245)


(
概要)
津久見港の南南東方約6Mにあり、東以外の三方を山に囲まれた天然の良港である。
佐伯湾は蒲戸埼とその南南東方約5Mにある高手島との間を湾口とし、西方へ約8M湾入しており、湾内には多数の小浦や島がある。
湾口では衝突などの海難が多い。
気象 気候は温和である。冬季に北の風がやや強いが、港内は年間を通じて穏やかである。

(
錨地)
北寄りの風に対しては大入島南端のトオドオ鼻の西方の水深814(1014)、底質砂又は泥の所、東寄りの風に対しては大入島と西方対岸との中間付近の水深1720m、底質泥の所が良い錨地である。
トオドオ鼻の東北東方1 M付近には検疫錨地がある。
この付近は水深20m、底質泥で大型船の錨地に適している(ただし、風浪によっては走錨の恐れある(16.8.30 19750トン貨物船の走錨事例が発生している))が、台風時の東〜南寄りの風に対しては大入島の西方に転錨するほうがよい。(水域が狭いうえ、風浪によっては走錨の恐れがある。(H16.9.6 3778トン貨物船の走錨事例が発生している。))

(
障害物)
港の西奥にある貯木場の北東側付近及び本港泊地の東部に多数の沈木がある。

瀬戸内海水路誌103から抜粋


◎佐伯港の避難港としての適性(小型船向)
当港は、九州の東岸中部において、豊後水道を隔てて四国に対し、北、西、南の三方を連山により囲まれた良港である。
北寄りの風にはトードー鼻の北西方と佐伯港の西方の霞ケ浦沖合いにも投錨し、また、東寄りの風には、大入島と九州本土との中間付近に投錨すれば、避泊に適している。
水深いずれも620m、底質は砂または泥で「錨かき」はよい。避泊できる船の隻数は次のとおりである。

 

 

500t以上の汽船

500t以下の汽船

機帆船200トンまで

漁 船50トンまで

佐伯港

小型船は入接岸し、200トン以上の船は沖出しして錨泊する

8(沖だし)

5(沖だし)

20

100

          〜避難港の手引き(小型船向)昭和39年から引用


◎委員会報告
佐伯湾は、豊後水道の西側蒲戸埼と高手島の間約5海里を湾口とし西方へ約8海里湾入する大きな湾で、湾奥にある佐伯港は東以外三方を連山に囲まれた天然の良港であるが、台風接近の場合は、東〜北東のうねりや風浪の侵入で港内、湾内とも全般的に錨泊避難に適しているとは言えない。
ただ、水域は広くはないが、大入島の南側及び西側は東寄りの風浪を避けることができる。特に、大入島西側で同島と本陸との中間付近水深1720m底質泥は良い錨地で、台風接近時多数の船舶が避泊している。
また、台風が西寄りのコースで南東風の吹くときなど佐伯湾の南部鶴見半島の北側の羽出浦沖には大型船が錨泊することがあるが、北西へ風が転向した後の強風には注意する必要がある。

                                         〜「大分県下における台風接近時の避泊について」()西部海難防止協会大分支部から引用