別 府 港(33°19′N 131°31′E)(海図W1219)
(概要)
別府湾奥の西側にある港で、背後の観光都市別府の海の玄関口であり、各地からの定期観光船の多い観光港として知られている。
南から北方へ別府、別府国際観光、亀川及び日出の4泊地がある。
北東部に日出《ヒジ》港(地方港湾)があり、港内は平穏で小型船の避泊に適する。
(泊地)
別府泊地(海図W1219 分図) 別府港の南部にあり、国際観光泊地が出来るまで港の拠点になっていた所である。市街中央部の前面には船だまりがあり、同船だまりの北隣にヨットハーバーがある。
別府国際観光泊地(海図W1219 分図) 港内のほぼ中央部にある東防波堤と沖防波堤に囲まれた泊地で、瀬戸内海沿岸の各港との間に定期船が多数発着している。
亀川泊地 別府市の北端で、海岸から400m付近は錨地に適する。市街の中央部前面には亀川漁港がある。
日出泊地 別府港の北端部にあり、日出町の前面は水深10〜40m、底質は砂泥で、碇瀬及び沖ノ瀬のほか険礁はなく、小型船の良い避泊地である
〜瀬戸内海水路誌103から抜粋〜
◎委員会報告
別府湾は、水域が広く東方に大きく開いているため台風が接近するときは偏東風による風浪や、外洋から侵入したうねりも回り込んでくることが多いため、全般的に台風の避泊地として適しているとは言えない。
また、距岸400〜600m以内には定地網、はえ縄などの漁具が多く、別府泊地から北方亀川を経て日出までの間は特に多い。
しかしながら、台風が九州の東を北上した場合は北東から西に回る風浪となり水深はやや深いが、水域が広く定期航路からも近い別府港の東方水深約60mの水域や日出沖に大型フェリーが避泊している。
台風が西を進み風が南東から南に回る場合は大分港の東部大在沖の水深40〜50mの水域で大型船が避泊することがあるが、西〜北西の吹き返しの強風に注意する必要がある。
小型船の泊地としては住吉浜の北側、水深2〜3.5m底質泥の偏南以外の風を防ぐ好錨地があり、また、日出港(地方港湾)も防波堤に囲まれ、港内は平穏で小型船の泊地に適している。
台風避難には適当ではないが、北西の季節風の避泊地として日出沖、灯篭鼻から加貫埼〜杵築湾口〜白石鼻にかけての水深20m前後の水域は小型船が多く利用している。
この場合、航路筋を除き各地距岸1.2海里以内と杵築湾北西の湾奥にはのり養殖施設が、住吉浜の近く300〜600m以内にはカキの養殖施設があり、注意が必要である。
〜「大分県下における台風接近時の避泊について」(社)西部海難防止協会大分支部から引用〜
大 分 港(33°16′N 131°41′E)(海図W1218,W1219,W1247A,W1247B)
(概要)
別府港の東南東方約9Mにある港で、旧大分港の西大分地区とその東方の鶴崎地区及び大在泊地・日吉原泊地とからなる。
沿岸一帯は大分鶴崎臨海工業地帯となっている。
(気象)
風向は年間を通じて南が多く、次いで北西である。風速は一般に冬季の北西風が強く、このとき港内はかなり波立つ。
台風等荒天時の場合は、近くに避難港がないので、台風の規模・進路等にもよるが、大型船は遠く中国(徳山)・四国方面へ避難する船舶もある。
(航泊制限)
液化ガス及び石油類の引火による事故防止のため、一般船舶は港域内に停泊中の引火性危険物積載タンカー(タンク船を含む)から30m以内の海域に立ち入ることが禁止されている。
鶴崎泊地中央部の水路は錨泊禁止区域に指定されている。
(錨地)
港内には、1〜7号及び新日鉄沖錨地がある。
港の東部の日吉原泊地の北方1M付近に検疫錨地がある。
〜瀬戸内海水路誌103から抜粋〜
◎大分港の避難港としての適性(小型船向)
当港は、九州の東岸、国東半島と関埼との間に湾入している別府湾の南岸にある。
一年を通じ北西の風のほかは、港内は穏やかである。
水深は2.5〜7.5m、底質は砂または泥砂で「錨かき」もよい。
〜避難港の手引き(小型船向)昭和39年から引用〜
◎委員会報告
大分港は東西25キロに及ぶ横長の港で、公共の係留施設は、西大分、住吉、乙津鶴崎、大在、日吉原の各地区にある。各地区とも北側が別府湾に面し、防波堤を設けているが風向きにより入口から風浪が侵入することがある。
係留施設の前面水域の泊地は、荷役待ちの短時間の仮泊に用いられ、錨泊して荒天避泊するには全般に幅が狭く(300〜500m)大型船には適していない。
住吉、鶴崎、大在、日吉原各地区の岸壁は、それぞれの施設の係留可能な大きさの船舶は係留避泊できるが、このうち海域は狭いがうねりの侵入のない住吉地区と鶴崎地区の公共岸壁はおおむね500トン以下の小型船が、艫付係留や多重横付係留して避泊している。
〜「大分県下における台風接近時の避泊について」(社)西部海難防止協会大分支部から引用〜