佐世保港(33°07′N 129°43′E)(海図W1232,W1233)


(概要)
九州西岸の北部にある地形に恵まれた天然の良港である。
港内は、第1区〜第3区の3港区及び航路に分かれている。
港内には、険礁及び沈船があるほか海岸線付近各所に養殖施設がある。

(台風対策)
本港では台風による事故を未然に防止するため佐世保港台風対策委員会を設置し、在港船舶などに対し、台風情報の伝達及び警戒体制、避難、入港制限の勧告・解除等の台風災害防止措置を指導している。

(立入禁止等)
港内の大半は米軍への提供水域である。

(航泊禁止) 庵埼の南南西方約0.9Mの沈船(12,000t、黄塗球形浮標にて表示)を中心とする半径250mの円内海域は、喫水が10m以上の船舶の航行及び全ての船舶の錨泊が禁止されている。

(
錨地)
3 区東部の恵美須湾は、水深10m内外、底質泥及び貝殻で好錨地になる。
検疫錨地は、航路の南側に指定されている。
危険物積載船の錨地は、第3 区の百間《ヒャッケン》鼻(33°07.6′N 129°44.1′E)と土井ノ鼻(33°05.5′N 129°42.0′E)を結ぶ線以東に指定されている。
なお、佐世保港内で錨地を希望する全ての船舶は、佐世保海上保安部に連絡すること。
上記のほか、港内各所に米軍及び自衛隊の専用係船施設がある。

(
係船浮標)
港内には多数の係船浮標があるが、米軍及び自衛隊の専用である。


九州沿岸水路誌105から抜粋


◎佐世保港の避難港としての適性(小型船向)
周囲を陸地で囲まれた天然の良港で大小の湾、入江がある。底質は大部分泥、貝がらで、小型船から数万トンまでの船が避泊するのに適している。
しかし、当港は港則法による特定港であるとともに、米軍への提供水域であもあり、この点から航行、停泊等について、色々な規制を受けるので注意する必要がある。


避難港の手引き(小型船向)昭和41年から引用

 

佐世保港調査

調 査 項 目

内          容

錨地名

佐世保港

錨地の位置及び範囲

港内77錨地      ※別添錨地図のとおり

水深

1140m

底質

泥、砂、貝、岩

避泊可能な最大船型

10万トンクラスの船舶の避泊は、可能であるが、錨地不足するため、現状としては、民間船は、3000トン以下の船舶が利用している。(平成16年風避難時の最大船舶米海軍車両輸送艦72000トン)

錨かきの状況

恵比寿湾等の底質が泥である錨地は、錨かきは良好であるが検疫錨地付近の底質が砂の錨地は、錨かきが悪く過去に走錨した事例がある

漁具等の設置

庵崎から俵ヶ浦及び恵比寿湾の沿岸部に養殖筏が設置されているが、影響のある錨地への指定を行っていないため特に問題はない。

灯浮標・標識ブイ等の設置状況

錨地付近灯浮標12基 沈船ブイ1

進入目標

水路誌記載とおり

推薦進入進路

水路誌記載とおり

周囲の地形

港内は、外海から遮断されたた地形である

気象

湾口が南に面しているため、南風の際は不向きである

利用実態(特記事項)

佐世保港内の85%が、米軍の提供水域であり錨地についても米軍が管理しており、錨泊する場合当部を通じ米軍の承認が必要である。

 海上自衛隊については、直接米軍との調整を行っていることから、台風接近時の錨地は、米軍、自衛隊が条件の良い錨地を使用するため、民間の使用する錨地が限定され、走錨等の危険性のある錨地に民間船を錨地指定しているのが現状である。

 また、佐世保港を基地としている定期船等(佐世保、長崎地区巡視船を含む)が錨泊するため、大型の台風接近時は特に錨地が不足する。

 なお、港内には77の錨地があるが、錨地のサークルが半径137mと小さい錨地が、大半であり船舶が大型化しているため、現状にあっていないこと及び錨地の底質、潮流等の条件が悪く使用実績のない錨地があることから、平成16年の港内での避泊船舶は最大隻数38(米艦船、自衛艦、定期船等26)であった。


                〜佐世保海上保安部からの資料


避泊地

番号

避泊日時

避泊位置

船種

総トン数

備考

佐世保港外

1

161018

33074

129381

貨物

1470

 

相浦

2

161019

33106

129376

貨物

1470

転錨

黒島南

3

16123

33075

129311

貨物

1489

 

佐世保海上保安部からの資料


◎佐世保港内錨地略図

「避難港に関する調査特別専門委員会報告書」(平成13()西部海難防止協会長崎支部)から引用




【参考】平成12年台風14号に伴う佐世保港内錨地利用実績

「避難港に関する調査特別専門委員会報告書」(平成13()西部海難防止協会長崎支部)から引用

 


大村湾(33°00′N 129°52′E)(海図W1231)


針尾島を隔てて佐世保港の南東方にある内湾で、東部はおおむね単調で南東部に大村市があり、北岸及び西岸は屈曲が多く礁が散在している。
湾内の沿岸には養殖施設が多数設置されている。
南北約14M、東西約6M、水深1420m、底質泥で、錨地に適しているが、針尾瀬戸及び早岐瀬戸を通らなければならないので、錨泊船舶には限度がある。
針尾瀬戸南口の南南西方約0.5M付近は、針尾瀬戸潮待ちの仮泊地に適する。
大村港の西側に空港があり、その北側に水上機発着場がある。

九州沿岸水路誌105から抜粋


◎大村湾の泊地としての利用
湾入口に針尾瀬戸があるため避泊地としては、あまり利用されない。


佐世保海上保安部からの資料