玉之浦港(32°39′N 128°38′E)(海図W217)


(概要)
五島列島の福江島西岸にある港で、港内東岸北部に荒川漁港、その北側に丹奈漁港がある。
港は南方へ深く湾入し、水深は港口のすぐ内方の4060mから港奥に向かってしだいに浅くなるが、20m等深線は多数の支浦の奥まで入っており、中央の水道はおおむね40mの水深がある。各支浦内には安全な錨地が得られる。
荒天時には日本漁船、中国漁船など多数の船舶が避泊する。

(気象)
冬季には北西風が、夏季には南西風が多い。

(錨地)
@小島北東側の錨地へは、港口東角の南西側、距岸約400mの所を航行し、御《ミ》岳(32°37.5′N128°37.1′E、高さ179)と小島の東端が一線となったならば、直ちに水深1618mの所に投錨すればよい。

A荒川浦(32°40.2′N 128°39.7′E)の前面で小島から北東方へ連なる20m等深線内の帯状区域内に、北東〜東寄りの風を避ける錨地が得られる。しかし、この錨地は北西風のときうねりが入り、底質は砂と貝殻で錨かきが悪い。

B弁天島(32°37.4′N 128°38.2′E)から南東方はしだいに水深が減少し、大型船は距岸400500m、水深2021m、底質砂泥の所に適当な錨地を得られる。しかし、この付近も福江島南岸の低地から吹いて来る風のため波浪の高いこともあるという。

C井持《イモチ》ノ浦(32°37.6′N 128°36.9′E)は南西方へ湾入し、水深720mあるが、養殖施設等があり狭い。

D中須ノ内(32°37.6′N 128°39.3′E)は北東方へ約1M湾入し、中央部の水深10m内外で、底質泥の所は安全な錨地であるが、水深は奥部に近づくに従ってしだいに減少するので測深して中央の最も適当な投錨位置を選べばよい。

九州沿岸水路誌105から抜粋〜


◎玉之浦港の避難港としての適性(小型船向)
当港は五島列島唯一の自然の避難港で、湾内には丹奈泊地、荒川泊地、玉之浦泊地、笠神泊地、大宝泊地、中須泊地がある。
水深は530mあって、底質は泥、砂で「錨かき」はよく、よい避難港である。
また、漁業基地や補給基地として、荒川漁港(1種漁港)、玉之浦港(地方港湾)があり、これら両港の岸壁は、100トン以下の小型船の避泊に利用され、五島列島のうちで最もよい避難港である。
なお、湾内の両岸には数多くの入江があって、避泊する小型船は風向の具合によっては、適当な入江に避泊できるが、これらの入江に入港する船は、真珠だなのある所があるので注意する必要がある。

           〜避難港の手引き(小型船向)昭和40年から引用