厳原港(34°12′N 129°18′E) (海図W 168,W 1479)
(概要)
港内は南・北二つの入江に分かれ、主な港湾施設は北の入江にあり、南の入江は久田浦という。
港口が東方へ開き周囲の山が風を遮るので港内は比較的穏やかである。
地勢が南北に深い谷になっているので、港内では吹きおろしの風が強吹することもあるが、船舶に危険を及ぼすことはまれである。
しかし、東寄りの風の強吹時には停泊していられないこともある。
(気象)
年間を通じて北風が多く、次いで北西風が多い。
(台風時の注意)
台風がこの港の東側を通過するときは、高い波と強風が港内に侵入するため船舶は錨泊していられないので、上島〜下島間の浅茅《アソウ》湾又は三浦湾に避泊する。
南東の風が20m/Sに達すると、港口の出入りが極めて危険になるので、気象情報に十分注意して、時機を失することのないように注意を要する。
(台風対策)
本港では台風による事故を未然に防止するため厳原港台風対策委員会を設置し、在港船舶などに対し、台風情報の伝達及び警戒体制、避難、入港制限の勧告・解除等の台風災害防止措置を指導している。
(錨泊禁止)
湾奥北部のl号物揚場西端から外防波堤外端以西の海域は、錨泊が禁止されている。
(錨地)
耶良埼灯台から2780約400mの所は水深11m内外、底質砂泥で良い錨地である.検疫錨地は、宇都須利崎の東側に指定されている。
〜九州沿岸水路誌105から抜粋〜
◎厳原港の避難港としての適性(小型船向)
当港は対馬最南端の豆醍湾奥にあって、港域は豆穀塙と小母埼とを結ぶ線以内の海面である。
港は湾口の幅より湾入の長さが短く、外洋の風浪がまともに入って、北以外の風を避けることができない。
しかし、近くに避難港がないので、東シナ海北部の小型漁船の避耗港(第4種漁港)として改修された。
港内は狭いが大型の台風でない限り安全と思われ、100トン以下の小型船の避泊に適している。
〜避難港の手引き(小型船向)昭和40年から引用〜
尾崎湾・尾崎浦調査 |
調 査 項 目 |
内 容 |
錨地名 |
厳原港 |
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錨地の位置及び範囲 |
34-11N 129-18E付近 |
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水深 |
約15m(検疫錨地) |
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底質 |
砂 |
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避泊可能な最大船型 |
1,800トン |
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錨かきの状況 |
検疫錨地は水深も安定しており、特に問題ない |
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漁具等の設置状況 |
港内には設置されていない |
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灯浮標・標識ブイ等の設置状況 |
湾口には耶良埼灯台があり北防波堤及び沖防波堤にはそれぞれ防波堤灯台が設置 されている |
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進入目標 |
北防波堤灯台と沖防波堤灯台の見通し線に沿って入港するとよい |
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推薦進入経路 |
110度 |
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周囲の地形 |
海底は起伏が大きく、郷埼の周囲は岩礁が点在する |
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気象 |
湾口が西に面しており、西風の際は不向き |
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利用実態(特記事項) |
荒天時の緊急入域線が錨地として利用しているが、海底の状況から走錨に十分注意する必要あり |
阿須浦(34°13′N 129°18′E) (海図W 168)
(概要)
かつては、1,000t以下の船舶及び白土積出用の小型船が出入りしていた。
浦口水道は険礁のため狭められ、水深10mの幅は約200mである。
(錨地)
浦内の5m等探線は距岸150m以内にあり、浦内の中央部は水深12.8〜18m、底質砂で5,000t以下の船舶の錨地が得られる。
なお、気象に対する注意事項は厳原港とほぼ同様である。
〜九州沿岸水路誌105から抜粋〜
阿須浦調査 |
調 査 項 目 |
内 容 |
錨地名 |
阿須浦 |
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錨地の位置及び範囲 |
34-13N 129-18E付近 |
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水深 |
16〜18m |
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底質 |
砂 |
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避泊可能な最大船型 |
3,000トン |
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錨かきの状況 |
水深も安定せており、特に問題ない |
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漁具等の設置状況 |
沿岸部に定置漁具等設置されている |
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灯浮標・標識ブイ等の設置状況 |
湾内部の阿須に防波堤灯台が設置されている |
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進入目標 |
湾口に鯨瀬、二ッ瀬が点在し狭くなっている |
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周囲の地形 |
港口が東側を向いている |
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気象 |
港口が東に面しているため、東風の際は不向きである |
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利用実態(特記事項) |
湾口が狭隘なため、地形に慣れた内航船が錨泊するていどである |
〜対馬海上保安部からの資料〜
三浦湾(34°19′N 129°23′E) (海図W l211)
(概要)
湾口付近は大型船の避泊地になるが、東〜南東風にさらされる。
湾北部の奥に鴨居瀬漁港があり、湾西部には浅茅湾に通ずる万関瀬戸のほか多数の小浦があって、それらの小浦及び海岸沿い一帯に養殖施設がある。
潮流)湾内はほとんど潮流を感じない。
湾外は上げ(下げ)潮流は南(北)方へ流れ5、流速は1.4knに達する。
三浦湾西部万関瀬戸に通ずる久須保浦、南岸に緒方浦などがあって船艇の泊地が得られる。
〜九州沿岸水路誌105から抜粋〜
三浦湾調査 |
調 査 項 目 |
内 容 |
錨地名 |
三浦湾 |
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錨地の位置及び範囲 |
34-18N 129-24E付近 |
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水深 |
20〜30m |
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底質 |
砂、泥 |
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避泊可能な最大船型 |
5,000トンの旅客船が錨泊した実績あり |
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錨かきの状況 |
水深も安定せており、特に問題ない |
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漁具等の設置状況 |
沿岸部に定置漁具等設置されている |
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灯浮標・標識ブイ等の設置状況 |
湾口に折瀬鼻灯台、黒島灯台がある |
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進入目標 |
現在工事中であるが、港口に防波堤が築造されており可航区域が設置されている |
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推薦進入進路 |
現在防波堤築造工事中で、工事施工カ所によって変わっている |
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周囲の地形 |
港口が東側を向いている |
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気象 |
港口が東に面しているため、東風の際は不向きである |
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利用実態(特記事項) |
一般に荒天避泊に利用されているが、湾内は漁船の出入港航路筋、万関瀬戸通過船の航路筋となっているので、航路を塞ぐような錨泊位置は避けたい |
〜対馬海上保安部からの資料〜